未収リース相当額の債権に係る貸倒損失額は必要経費
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:12/17/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 未収リース相当額の債権に係る貸倒損失額の必要経費としての処理が認められるか否かの判断が争われた事件で、国税不服審判所は事業の遂行上生じたものであると認定、原処分を全部取り消している。

 この事件は、審査請求人らの亡父が、個人事業の遂行上生じた貸付金等が貸倒れになったことから、貸付金等に係る残元金相当額を貸倒損失等として必要経費に算入して申告したのが発端。しかし原処分庁が、貸付金等は亡父の事業の遂行上生じたものではないため、貸倒損失等として必要経費算入はできないと否認、亡父の納税義務を承継した請求人ら(相続人)に、同人に係る更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行ってきたため、その全部取消しを求めて審査請求したという事案である。
 
 つまり原処分庁は、未収リース料相当額の債権は被相続人(請求人らの父=亡父)の事業の遂行上及び事業の遂行に付随して生じたものと認められず、債権に係る貸倒損失額は、事業所得の必要経費に算入できず、雑所得に係る必要経費に算入されるべき金額であるから、雑所得の金額を限度に必要経費に算入すべきであると主張したわけだ。

 しかし裁決は、リースは取引先の事業に対する支援の一環で行われたものであると認定。同時に、リースを含む被相続人の設備・装置等の販売・設置やリース等に係る業務が営利性、有償性を有することはもとより、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められ、未収リース料相当額の債権に係る所得は事業から生じる所得として事業所得に該当するとも認定。その結果、未収リース相当額の債権は貸倒れになったと認められるから、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入されると指摘して原処分を全部取り消している。

(国税不服審判所、2013.03.19裁決)