行政訴訟も、大阪地裁が外れ馬券の購入費の経費算入を認容
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:06/09/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 馬券の払戻金の所得区分、外れ馬券の購入代金の経費性が争点になった所得税法違反事件では、最高裁が雑所得として必要経費算入を認容する判決を言い渡したが、課税処分の取消しを求めた行政訴訟でも、昨年10月、大阪地裁(田中健治裁判長)が一時所得として外れ馬券の必要経費算入を否定した更正処分の一部を取り消す判決を言い渡している。

 この事件は新聞報道もされた有名な事件だが、馬券を自動的に購入できるソフトを使用してインターネット上で、多数回かつ頻繁に網羅的な購入をしてもっぱら回収率に注目、多額の利益を上げたものの、納税者が無申告だったため所得税法違反事件として検察から告発される一方、納税者が課税処分の取消しを求めて行政訴訟を起こした事案である。

 いずれも馬券の払戻金の所得区分、外れ馬券の購入代金の必要経費性が主な争点だったが、所得税法違反事件では下級審が的中馬券の払戻金を雑所得と認定して、外れ馬券の購入代金の必要経費算入を認容する判決を言い渡したため、国側が上告中に、大阪地裁が判決を言い渡したもの。大阪地裁は所得区分、外れ馬券の必要経費性について納税者側の主張を認容して更正処分を一部取り消す判決を言い渡したが、無申告だったことについては正当な理由が見当たらないと判示して、納税者側の請求を斥けている。

 具体的には、個々のレースの枠を超えた多数のレースにおける継続的な馬券購入という一連の継続的行為が、総体として経常的に所得を生じさせており、馬券の払戻金は営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当すると認定。また、継続的な馬券購入から得られた雑所得の計算上、必要経費として控除されるのは外れ馬券も含めた馬券の総購入金額になると判示した。

 大阪の事件は結着したものの、現在控訴中の納税者が札幌の馬券購入訴訟ではパソコン等の利用による継続的行為ではないという事実認定から、東京地裁が納税者の主張を斥けている。大阪の事件とは馬券購入等の手法に違いがあるものの、類似しているのは確かなため、こちらの事件の動向も注目されている。

(2014.10.02大阪地裁判決、平成25年(行ウ)第20号)