競馬の馬券の的中によって得た払戻金は一時所得に該当と判断
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:01/15/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 競馬の馬券が的中したことによって得た払戻金が雑所得、一時所得いずれの所得に該当するかの判定が争われた事件で、国税不服審判所は営利を目的とする継続的行為から生じた所得には該当せず一時所得に該当すると判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、地方公務員である審査請求人が競馬の払戻金を雑所得として申告したところ、原処分庁が一時所得に該当すると認定して更正処分等をしてきたため、その全部取消しを求めて審査請求された事案である。

 裁決は、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得」はその性質によって判断される所得源泉を有する所得以外の所得であり、所得源泉の有無は継続性・恒常性があるか否かが判断基準になると解釈。しかし、競馬所得の基礎となる馬券の購入行為は払戻金を得られるか否か分からない不確実な行為であり、競走ごとに独立した行為である結果、競馬所得の基礎となる馬券の購入行為に継続性・恒常性は認められず、馬券を継続的に購入したとしても、その所得が所得源泉を有する所得であると認めることもできないことから一時所得に該当すると判断、請求人の主張を斥けている。

 また、一時所得の金額の計算の際に控除すべき金額は、個別対応的に収入を生じた行為又は原因ごとに直接支出した金額に限られることから、競馬所得から控除できる金額は的中した馬券に係る購入金になると指摘。その上で、預金口座の入金額及び出金額はそれぞれ直前の払戻金等及び購入金の決済額であり、払戻金等に返還金が含まれていたとしても同額が購入金に含まれ、払戻金が券面金額を下回ることはないと認定した。結局、特払いも各年分に発生していないことから、原処分庁が採用した算定方法が請求人に不利な算定方法になるとはいえず、特段不合理とする理由も認められないことから、原処分庁が更正処分の際に用いた競馬所得に係る一時所得の金額の計算は妥当と判断している。

(国税不服審判所 2012.06.27裁決)