土地の譲渡人を非居住者と認定、譲渡所得は国内源泉所得
カテゴリ:02.所得税 裁決・判例
作成日:11/30/2009  提供元:21C・TFフォーラム



 土地の譲渡人が日本国の非居住者に該当するか否かの判定が争われた事案で国税不服審判所は、土地の譲渡代金が支払われた時に譲渡人は国内に住所を有していたとは認められないと事実関係を認定した上で、審査請求を棄却した。

 この事案は、審査請求人が土地等の譲渡人に対して支払った対価について、原処分庁が譲渡人は日本国内の非居住者に該当すると認定するとともに所得税を源泉徴収すべき国内源泉所得に当たると判断、源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分をしてきたため、譲受人である審査請求人が譲渡人は日本国内の居住者であると主張、原処分の全部取消しを求めていたという事案だ。

 つまり請求人は、譲渡人が国内に居住していたことは土地等の売買契約書に添付された譲渡人の印鑑登録証明書により確認できるのであるから居住者であると主張して、原処分の取消しを求めていたわけだ。

 これに対して裁決は、譲渡人の住民票つまり除票の内容及び出入国状況から、譲渡人は不動産の売買契約に際して帰国直前まで国外に住所を有していたと認定。しかし、譲渡人は国内に滞在期間中、ホテルに宿泊し、住民票記載地において生活していたことを伺わせる証拠がない以上、譲渡人が住民票記載地を住所として届け出たことは、その土地等の売買契約の締結のための一時的な事情によるものであり、出国と同時に住民票も国外に転出させているなどの事実関係を指摘。結局、日本を出国後、再び日本国に滞在した期間は土地の売買に関わった期間だけであり、土地等の譲渡による対価が支払われた日まで引き続き1年以上居所を有していたとは認められないと判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2008.09.25裁決)