来年10月の消費再引上げに企業の約7割が否定的
カテゴリ:03.消費税 トピック
作成日:11/19/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 安倍首相は18日、来年10月の消費再増税の延期と衆院解散・総選挙に踏み切る方針を表明したが、帝国データバンクが10月下旬に実施した「消費税率再引上げに対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万755社)によると、来年10月の消費税率10%への引上げに対する是非は、「時期を延期して引き上げるべき」との回答企業が32.1%で最多となった。企業の3社に1社は、消費再引上げは延期すべきと考えていることが分かった。

 次いで、「引き上げるべきでない(現行の8%を維持)」の27.4%が続いた。「予定通り引き上げるべき」は25.3%にとどまり、「延期すべき」と「現行維持」、「引き下げるべき」を合計すると66.1%と、回答企業の約7割は消費再引上げに否定的であることが判明した。規模別にみると、予定通り引き上げるべきと考えている企業は規模が小さくなるほど少なくなる傾向があり、「小規模企業」は「大企業」を3.8ポイント下回る。

 消費税率再引上げの是非に対する回答についてその理由(複数回答)を尋ねたところ、「予定通り引き上げるべき」と回答した企業では、「財政再建」が81.6%で突出して高く、次いで「社会保障の充実」が51.8%で半数超となった。また、「時期を延期して引き上げるべき」と回答した企業では、「経済動向(金利、株価、為替など)」が51.1%と半数を超え、「財政再建」が42.8%と4割超で続いた。

 予定通りの引上げに否定的な企業からは、「賃金の上昇がまだまだ消費税UPに追いついていない現状からは消費が冷え込むのは自明」(鉄鋼卸売、大阪府)や「まずは景気回復が最優先」(建設、京都府)など、賃金の上昇が追い付いていないなかで再び消費税率を引き上げることによる景気への悪影響を懸念する声や、8%への引上げに対する検証を行ってから10%への引上げを検討すべきとする声が多く挙がったという。

 4月に消費税率が8%に引き上げられて以降、国内景気は当初想定されていた“夏場にも反動減は解消し景気は回復する”というシナリオ通りに進んでいない。2012年の改正消費税法では、景気条項を付したうえで、2015年10月に消費税率を10%に引き上げることが明記されている。消費税率の再引上げは企業業績や計画に影響を与えるだけに、政府には景気の腰折れ回避を第一に捉えた決断が求められる、としている。

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