インボイス導入までの消費税額計算は簡素な経理方式
カテゴリ:03.消費税, 15.税制改正 トピック
作成日:01/13/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 平成29年4月から軽減税率制度が導入されると、複数税率を区分経理しなければならず、事業者の負担が増す。税額計算の方法は、インボイス制度として「適格請求書等保存方式」を2021年4月から導入する。それまでの間は、簡素な方法として「区分記載請求書等保存方式」とするとともに、複数税率に対応した区分経理が困難な中小事業者や、システム整備が間に合わない事業者等に配慮して、税額計算の特例を創設する。

 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間における仕入税額控除制度については、現行の請求書等保存方式を基本的に維持する。ただし、課税仕入れが軽減税率対象品目に係るものである場合には、帳簿に記載すべき事項として「軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである旨」を加え、請求書等に記載すべき事項として「軽減対象課税資産の譲渡等である旨」及び「税率の異なるごとに合計した対価の額」を加える。

 税額計算の特例は、課税売上高が5千万円以下の中小事業者が、平成29年4月から33年3月までの期間に、売上を税率の異なるごとに区分することが困難なときは、通常の事業を行う連続する10営業日の課税資産の譲渡等に占める軽減対象課税資産の譲渡等の割合、又は卸売業及び小売業に係る課税仕入れ等に占める軽減対象課税資産の譲渡等にのみ要するものの割合を用いて、その期間の売上税額を簡便に計算することを認める措置を設ける。

 この卸売業及び小売業に係る課税仕入れ等に占める軽減対象課税資産の譲渡等にのみ要するものの割合を用いて売上税額を計算する措置については、簡易課税制度の適用を受けない課税期間に限り、適用できる。さらに、主として軽減対象課税資産の譲渡等を行う事業者が、割合の算定についても困難な事情があるときは、その割合を50%として計算することができるという、零細商店などに配慮した特例も認めている。

 一方、仕入税額の計算の特例も設け、課税売上高が5千万円以下の中小事業者が、平成29年4月から30年3月までの期間に、国内において行う卸売業又は小売業に係る課税仕入れ等を税率の異なるごとに区分することが困難なときは、卸売業及び小売業に係る課税資産の譲渡等に占める軽減対象課税資産の譲渡等の割合を用いて、その期間の仕入税額を簡便に計算することを認める特例措置を講じる。

 これらの売上税額の計算の特例と仕入税額の計算の特例は、課税売上高5千万円以下の中小事業者以外の事業者も導入から1年に限り、可能となっている。