歯科技工士業はサービス業ではなく製造業と判決
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:10/03/2005  提供元:21C・TFフォーラム



 消費税の簡易課税制度における業種区分の判定をめぐり、歯科技工士業がサービス業、製造業のいずれに該当するかが争われた事件で、名古屋地裁(加藤幸雄裁判長)は歯科技工士業をサービス業と分類することには合理性がないと指摘、原処分庁の主張を斥けた。

 この事件は、消費税の簡易課税制度を選択している歯科技工所を営む有限会社が、70%のみなし仕入率が認められる製造業(第三種事業)であるとして消費税と地方消費税の申告をしたところ、原処分庁が第五種事業のサービス(みなし仕入率50%)と認定、更正処分してきたため、その取消しを求めた抗告訴訟。原処分庁は課税実務上、業種区分の判定は日本標準産業分類に従って事業の範囲を確定することに合理性があると主張。つまり歯科医師の医療行為に付随するサービス提供事業であるという解釈をしたわけだ。

 これに対して判決は、租税賦課の根拠になる法令等の用語は法令等に定義がある場合はそれに拠るのが当然だが、そうでない場合は日本語の通常の用語例による意味内容に拠るべきであると示唆する一方で、歯科技工士法からみた歯科技工士の職務内容(法律の制定経緯、規制内容)を整理。その上で、歯科技工士業の実態を調べ、有形物を給付の内容としていることが明らかであるから製造業に該当すると判定している。

 さらに、簡易課税制度はその事業の実際の仕入率の多寡を問題とするものではなく、政令で定めるみなし仕入率による仕入税額控除を行うものであると指摘、実際の仕入率や経費がそれを下回っていたとしても、そのことを根拠に事業区分を判定するようなことは認められないと原処分庁の主張を批判している点にも注意しておく必要があろう。

(2005.06.29 名古屋地裁判決、平成16年(行ウ)第56号)