1割未満の実地調査で申告漏れ所得の6割を把握
カテゴリ:02.所得税, 03.消費税, 12.国税庁関係 トピック
作成日:11/02/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 国税庁が10月29日に発表した平成26事務年度(26/7~27/6)の所得税及び消費税調査等の状況によると、同事務年度の個人に対する所得税調査は、前年度比17.7%減の74万件行われ、うち約63%に当たる46万7千件から同5.4%増の8659億円の申告漏れ所得を見つけた。その追徴税額は1008億円だった。1件平均117万円の申告漏れに対し14万円を追徴している。

 実地調査における特別調査・一般調査(高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象に行う深度ある調査)は4万9千件実施し、うち約86%に当たる4万2千件から総額4319億円の申告漏れ所得を見つけ、696億円を追徴した。件数では全体の6.6%に過ぎないが、申告漏れ所得金額全体の50%を占めた。調査1件あたりの申告漏れは877万円と、全体の平均117万円を大きく上回る。

 また、実地調査に含まれる着眼調査(資料情報や事業実態の解明を通じて行う短期間の調査)は1万8千件行われ、うち1万4千件から689億円の申告漏れを見つけ、46億円を追徴した。1件あたり平均申告漏れは373万円。一方、簡易な接触は67万2千件行われ、うち41万件から3651億円の申告漏れを見つけ、265億円を追徴。1件あたりの平均申告漏れは54万円だった。

 実地調査トータルでは6万8千件の調査を行い、うち5万6千件から5008億円の申告漏れを見つけ、742億円を追徴している。つまり、実地調査件数は全体の9.2%と1割未満に過ぎないが、申告漏れ所得全体の6割(57.8%)を把握しており、高額・悪質な事案を優先して深度ある調査を的確に実施する一方、短期間で申告漏れ所得等の把握を行う効率的・効果的な所得税調査が実施されていることがうかがえる。

 業種別1件あたりの申告漏れ所得高額業種は、「キャバレー」(2093万円)、「風俗業」(1979万円)、「バー」(1159万円)までがワースト3。前年に比べ1位と2位が入れ替わったが、ワースト3の業種は昨年と同じ。

 なお、課税事業者又は課税事業者と認められる者を対象にした所得税との同時調査や無申告者に対する単独での消費税調査では、8万6千件(前年度7万6千件)に調査を実施して5万9千件(同5万2千件)から非違を把握し、その追徴税額は加算税を含め232億円(同209億円)だった。

 この件はこちら