軽減税率の導入の課題、「現時点では分からない」が最多
カテゴリ:03.消費税 トピック
作成日:03/16/2016  提供元:21C・TFフォーラム



平成29年4月1日の消費税率10%引上げと同時に酒類・外食を除く飲食料品に軽減税率が導入されることになったが、東京商工会議所は、1月に実施した「中小企業の経営課題に関するアンケート調査」の中で、軽減税率の導入に対する自社の課題(複数回答)について質問している。調査結果(有効回答数850社、20人以下が69%)によると、全体では、「何が問題か現時点では分からない」が44.9%で最も多かった。

 次いで「軽減税率制度の詳細の理解」が38.3%となっており、まずは事業者への周知が必要と思われる。回答欄には「自社に関係ないため無回答」との記述もみられ、経理方式の変更は、全ての事業者で対応が必要だが、認識が不足している現状が見受けられる。また、「帳票入力や税率確認等の経理事務の人的な負担の増加」(21.4%)、「複数税率に対応した経理システムの導入・改修」(16.8%)が続いた。

 さらに、「複数税率に対応した経理方式の理解」(15.2%)が挙げられ、現時点では、経理方式変更に対応する負担が重いとの認識がうかがえる。業種別にみると、「小売業」では、「軽減税率制度の詳細の理解」が約5割(48.8%)と他業種に比べて極めて高い一方で、「何が問題か現時点では分からない」が4割弱(36.6%)となっており、身近な問題と捉えていることが分かる。

 全業種の中で、食料品の製造・卸・小売及び飲食業など食料品を扱う業種を抽出したところ、全業種よりも軽減税率の問題を強く認識している様子がみられた。飲食関係合計では、「軽減税率制度の詳細の理解」が6割弱(57.1%)と最も多くなっており、次いで、「取扱商品・サービスの対象税率の決定」(41.2%)、「複数税率に対応した経理方式の理解」(35.3%)となっている。

 軽減税率に対応するため、まずは制度の詳細を理解する必要があり、続いて自社の取扱商品の見直しや、経理方式の変更等に対応する必要があると、具体的に課題を認識していることが分かる。なお、件数が11件と少ないため参考値となるが、特に「飲食業」では、「収益管理や原価計算の見直し」、「店舗等における消費者への対応」(ともに62.5%)、「複数税率に対応した経理方式の理解」(56.3%)が6割前後と高くなっている。


同調査結果はこちらを参照のこと。