書籍への軽減税率、今国会での議論見送り
カテゴリ:03.消費税 トピック
作成日:01/21/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 消費税の軽減税率で検討課題となっている「書籍・雑誌」への適用が、2017年4月の軽減税率導入時には間に合わない可能性が出てきた。有害図書を排除する仕組みづくりが難航しているためだ。政府・与党はこのほど、書籍・雑誌の適用に必要な基準づくりを今国会では見送る方針を固めた。

 2016年度与党税制改正大綱では、週2回以上発行で定期購読される新聞を軽減税率の対象とする一方、書籍・雑誌については、有害図書を排除する仕組み作りなどを踏まえて適用可否を引き続き検討することとした。

 有害図書については現在、各自治体が独自の判断で青少年に有害とされる図書類を「不健全図書」などに指定している。「有害」の基準は自治体によって微妙に異なり、また規制をしていない地域もある。

 菅義偉官房長官は「表現の自由の問題も出てくるため、業界で自主規制してもらい、議員立法で決めることが必要」としているが、別の与党議員からは「書籍・雑誌を丸ごと対象にするか、そもそも対象にしないかの二択になる可能性がある」との指摘もあり、与党内の足並みも揃っていない。

 表現の自由にも抵触しかねない「有害図書」の線引き問題。出版物にも軽減税率を適用するよう求める声明を出している日本書籍出版協会など出版4団体の対応も含め、今後の動向に注目が集まる。