第二次納税義務の告知処分が可能な譲渡担保財産に当たると認定
カテゴリ:16.その他 裁決・判例
作成日:10/19/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 譲渡担保を原因とする所有権移転登記がされた土地に第二次納税義務を課すことができるか否かの判断が争われた事件で東京地裁(小林宏司裁判長)は、所有権移転登記の当時、譲渡担保権を実行する旨を合意した事実がないことを理由に、滞納国税の徴収が可能な譲渡担保財産に当たると認定して、第二次納税義務に係る告知処分の取消請求を棄却した。

 この事件は、国税の滞納者である兄所有の土地を弟が譲渡担保を原因とする所有権移転登記した土地に対して、原処分庁が国税徴収法24条1項が定める譲渡担保財産に当たると認定して、第二次納税義務の告知処分をするとともに、差し押さえたのが発端となったもの。そこで弟側が、譲渡担保権が既に実行されており、譲渡担保財産には当たらないと反論、第二次納税義務の告知処分及び差押処分の取消しを求めて提訴したという事案である。

 弟は、兄に対し4億円余の貸金債権を有していたことから、兄からの譲渡担保権実行の申入れを受けて、その土地の評価額を債務に充当するという内容で譲渡担保権を実行する旨の合意をしたと主張。つまり、既に譲渡担保権が実行されており、第二次納税義務の告知処分の当時、譲渡担保財産ではなくなっていたと反論して、原処分の全部取消しを求めたわけだ。

 しかし判決は、譲渡担保権が設定された場合の取扱いを整理した上で、兄への貸付金額が数千万円もあるにもかかわらず、数十万円の返済しかされていないことから、譲渡担保権は実行されずに存在しており、土地の評価額も把握されていなかったと認定するとともに、譲渡担保権を実行したという弟及び兄の陳述書における供述も信用できないと指摘。結局、第二次納税義務の告知処分当時も、譲渡担保権の目的不動産として、国税徴収法24条1項が定める譲渡担保財産に該当していたと認定、弟側の訴えを斥ける判決を言い渡した。

(2015.01.29東京地裁判決、平成25年(行ウ)第717号)