日銀ゼロ金利政策の裏に政府の圧力
カテゴリ:17.財務省関係 トピック
作成日:10/14/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 10月5日の金融政策決定会合で、日銀が4年3ヵ月ぶりに実質ゼロ金利政策を復活させた。日銀の決定は、政策金利(無担保コール翌日物)の誘導目標を現行の「年0.1%前後」から「年0~0.1%程度」に引き下げ、実質ゼロ金利政策を復活させるというもの。さらに、長期国債や不動産投資信託など計5兆円分を新たに買い入れるなど、量的緩和のための総額35兆円の基金を創設。異例の「包括緩和」で、先行き懸念が強まる景気の下支えを狙った内容だ。

 一連の動きの背後には、大胆な追加緩和を求めていた政府・与党の圧力があった。日銀は8月10日の決定会合で、金融政策を現状維持すると決めた直後に米連邦準備制度理事会が大胆な緩和姿勢を示し、円相場が急騰するきっかけを作った。

 政府・与党からは「円高の原因は日米(中銀)の姿勢の違い」(玄葉光一郎国家戦略担当相)との日銀主犯論が噴出。民主党議員150人で構成するデフレ脱却議連や、みんなの党は日銀法改正案提出の意向を示し、財務省も「市場にアピールする対応を」と追加対策を迫っていた。

 追い詰められての対応とはいえ、日銀が緩和カードを一気に切ったことで、「ボールが政府に返ってきた」(財務省三役)。野田佳彦財務相は「補正予算を早期に成立させて、切れ目のない経済対策を講じていく」と、金融政策の市場へのインパクトが薄れないうちに経済対策を早期にまとめる意向だ。