国税通則法99条に基づく意見申出事案は過去9件
カテゴリ:17.財務省関係 トピック
作成日:11/08/2011  提供元:21C・TFフォーラム



 財務省はこのほど、政府の行政救済制度検討チームに「国税通則法第99条に基づく意見申出事案の状況」を提出したが、国税不服審判所長の申出に対し、国税庁長官が当該意見を相当と認めたものは過去9件で、当該意見を不相当としたものはなかったことが明らかになった。すべて不服審判所長の意見が認められ、その内訳は、「原処分の全部取消し」が4件、「原処分の一部取消し」が5件だった。

 第1号は、1971年9月裁決の「仮想経理に起因する減額更正に伴う法人税の還付」に関する事件で、「法人税法第70条第1項は、解散している法人には適用されないから、仮想経理に基づく減額更正に伴う過誤納金を破産会社に即時還付すべき」との趣旨だった。また、「相続税における定期預金の評価上、既経過利子の額の算定については、解約利率により算定した額から源泉所得税額を控除すべき」(1980年12月裁決)との事件も。

 最も新しいものは、2009年2月裁決の「居住用家屋の共有持分を追加取得した場合の住宅借入金等特別控除の取扱い」で、「居住用家屋について、離婚による財産分与等により共有持分を追加取得した場合は、住宅借入金等特別控除の適用に当たり、「家屋を2以上有する場合」に該当せず、当初から保有していた共有持分と追加取得した共有持分のいずれについても住宅借入金等特別控除が適用されるべき」というものだった。

 (参考)国税通則法第99条:国税不服審判所長は、通達と異なる解釈により裁決をするとき、又は他の国税に係る処分を行う際に法令の解釈の重要な先例となる裁決をするときは、あらかじめ国税庁長官に申し出なければならない(第1項)。国税不服審判所長の意見が審査請求人の主張を認容するものであり、かつ、国税庁長官が当該意見を相当と認める場合を除き、国税審議会の議決に基づいてこれをしなければならない(第2項)。