特定普通財産と隣接土地等の交換の課税特例は必要
カテゴリ:17.財務省関係 トピック
作成日:09/13/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 財務省はこのほど、特定普通財産とその隣接する土地等の交換の場合の課税の特例について、継続が必要であるとする租税特別措置法等に係る政策の事後評価書を公表した。同事後評価は、行政機関が行う政策の評価に関する法律、財務省の政策評価に関する基本計画等に基づき、国税における租税特別措置及び地方税における税負担軽減措置等に係る政策の評価を実施するもので、取りまとめたものは適時公表することとされている。

 今回の評価対象とされた特定普通財産とその隣接する土地等の交換の場合の課税の特例は、国有地のうち売却が直ちに困難な無道路地、不整形地及び権利付財産について、交換制度を活用し、隣接地と土地の一部を交換して進入路の確保、土地の整形化又は借地権の解消することにより、売却可能な国有地を創出し売却を図ることを目的に平成18年度に創設された恒久措置である。

 国有財産特別措置法に規定する土地等として一定の証明がされた特定普通財産に隣接する土地(その特定普通財産の上に在する権利を含む)につき、同法の規定よりその隣接する土地等とその特定普通財産との交換をしたときは、一定の要件の下で法人税や所得税の課税の繰延べの特例措置が講じられる。

 評価結果をみると、制度創設から平成23年度までの6年間の交換件数は、法人6件、個人55件の合計61件で、これに係る減収額は法人税分2億2000万円、所得税分1億46000万円の合わせて3億6600万円。一方、交換により売却できた国有地の売却収入は22年度までで46億7300万円(23年度交換についての24年度売却見込額は6億8100万円)となっている。

 財務省では、1)隣接土地所有者の交換ニーズは、土地所有期間の中で生じる建物の建替えや相続などの機会に応じて発生するもので、隣接土地所有者側のニーズがなければ同制度は活用できないこと、また、交換は相手方との合意に基づき成立するものであることから、事前に適用件数を想定することは困難であり、交換件数が想定外に僅少でないこと、2)法人及び個人との交換について、税収減を上回る売却収入が得られたことを挙げ、特例措置の効果はあったと認められると分析。引き続き、売却可能な国有地を創出して売却を図ることで税外収入を確保する必要があることから、特例の継続は必要であるとしている。