発効するクウェートとの租税条約
カテゴリ:17.財務省関係 トピック
作成日:05/22/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 財務省は、「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とクウェート国との間の条約」(平成22年2月17日署名)を発効させるための外交上の公文の交換が5月15日、クウェートで行われたことを明らかにした。わが国とクウェート国との間では、これまで租税条約は存在せず、同条約は、両国の緊密化する経済関係を踏まえ、新たに締結したものである。

 外交上の公文の交換が行われたことから、同条約は今年6月14日(外交上の公文の交換日後30日)に発効し、1)源泉徴収される租税に関しては、2014年1月1日以後に課される額、2)源泉徴収されない所得に対する租税に関しては、2014年1月1日以後に開始する各課税年度の所得、3)その他の租税に関しては、2014年1月1日以後に開始する各課税年度の租税、について適用される。

 クウェートとの租税条約は、国際的な二重課税の調整のため、日本とクウェート国との間の投資・経済活動に係る課税関係を明確化するもの。さらに、その締結によって、脱税及び租税回避行為の防止等のための両国の課税当局間の協力関係が構築されることになる。これらにより、進出企業に対する課税の法的安定性が確保され、投資・経済交流が一層促進されることが期待されている。

 租税条約のポイントは、1)企業の進出先国での課税関係の明確化、2)投資先国での投資所得(配当、利子及び使用料)に対する課税の軽減。1)では、日本企業がクウェート国に進出し、恒久的施設(支店等)を設けて事業活動を行った場合には、その恒久的施設の行う事業活動によって取得する所得に限定して、クウェート国において課税が行われることになる。

 また、2)の投資先国での投資所得(配当、利子及び使用料)に対する課税の軽減では、投資先国においては、投資所得について、配当は親子会社間(持株10%以上)が5%、その他が10%、利子は10%、使用料は10%のそれぞれ限度税率を上限として、所得課税が行われることとされている。なお、政府、中央銀行、一定の政府関係機関等が受け取る利子については免税とする。