28年度一般会計予算の歳出の3分の1を借金に依存
カテゴリ:17.財務省関係 トピック
作成日:05/11/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 財務省が9日に公表した「日本の財政関係資料」によると、平成28年度一般会計予算における国の一般会計歳出では、社会保障関係費(構成比33.1%)や国債費(同24.4%)が年々増加している一方、その他の政策的な経費(公共事業、教育、防衛等)の割合が年々縮小している。国債の元利払いに充てられる費用(国債費)と社会保障関係費と地方交付税交付金等(同15.8%)で歳出全体の7割以上を占めている。

 一方、平成28年度一般会計予算における歳入(96兆7218億円)のうち、税収は約6割を占める57兆6040億円を見込んでいる。本来、その年の歳出はその年の税収や税外収入で賄うべきだが、平成28年度予算では歳出全体の3分の2程度しか賄えていない。この結果、残りの3分の1程度(35.6%)の34兆4320億円を公債金すなわち借金に依存しており、これは将来世代の負担となる。

 一般会計歳入・歳出総額が96.7兆円の我が国財政を1年間の支出が967万円(81万/月)の家計にたとえると、月収52万円に対して、毎月新たに29万円の新規借入れを行っており、ローン残高は8664万円(住宅ローン残高2749万円、生活費ローン残高5916万円)に達している。毎月の支出81万円の内訳は、27万円が年金・医療・介護費用だが、親世代の高齢化に伴い毎年5万円程度増加中だ。

 我が国の普通国債残高は、年々増加の一途をたどっている。平成28年度末の普通国債残高は約838兆円にのぼると見込まれているが、これは一般会計税収の約15年分に相当し、将来世代に大きな負担を残すことになる。ちなみに、国民1人当たりで約664万円、4人家族で約2656万円の借金がある勘定になる。勤労者世帯の平均年間可処分所得約508万円(平均世帯人員3.40人)を上回る。

 普通国債残高以外にも借入金や地方債務残高などの長期債務が存在する。これらを国・地方の双方について集計した「国及び地方の長期債務残高」は、平成28年度末に国が866兆円、地方が196兆円で計1062兆円(対GDP比205%)に達する見込みだ。なお、債務残高の対GDP比をみると、1990年代後半に財政の健全化を着実に進めた主要先進国と比較して、我が国は急速に悪化しており、最悪の水準となっている。

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