外国税額控除否認は違法との判決
カテゴリ:07.国際税務 裁決・判例
作成日:05/24/2001  提供元:21C・TFフォーラム



 日本で課税される所得の中に外国で生じた所得があり、その外国で当該所得に対して我が国の所得税に相当する税金が課税されている場合、一定額を日本で納税すべき税額から控除する外国税額控除制度が我が国税制上採用されているが、この制度の適用をめぐって住友銀行(現三井住友銀行)と国税当局の間で外国税額控除制度適用の可否が訴訟で争われていた。この事案は国際的租税回避スキ-ム事件として注目されていたが、5月18日、大阪地裁は同銀行の請求を認める判決を出した。
 同銀行は海外支店を通じて外国の企業に融資していた392億円の利子にかかる約2億6,000万円の税金が海外で源泉徴収されたため、外国税額控除制度を適用して海外で源泉徴収されていた税金を控除していたが、日本の国税当局は、日本での納税を少なくするための仮装取引であるとして、外国税額控除制度の適用を否認する課税処分を行った。
 これに対して、今回出された判決では、金融機関の業務の一環としてより低いコストの金融を提供したもので不自然な取引とはいえない、また、資金の移動も行われており仮装とはいえないとして、国税当局の課税は違法として同銀行の請求を認め、課税処分が取り消されている。