変額保険訴訟で税理士等に1億円超の損害賠償命令
カテゴリ:13.会計士・税理士業界 裁決・判例
作成日:04/19/1999  提供元:21C・TFフォーラム



 いわばバブルの徒花ともいえる変額保険だが、バブル崩壊とともに保険加入者に多額のリスクが発生、それに伴う変額保険訴訟も数多い。が、加入者が救済される事案はほんの一握りだ。そうした中、東京地裁(田中壮太裁判長)は保険加入者の主張を認め、税理士や生保会社等に1億円を超える損害賠償を命じる判決を下した。
 変額保険はハイリスク・ハイリターンの投機的性格の非常に高い商品。その多くは銀行からの多額の借入金を原資に加入しているものが殆ど。しかし、バブル崩壊とともに保険金・解約返戻金が当初の保険料を大きく下回り、借入金の返済ができずにいわば自己破産状態に陥っているものも数多い。変額保険訴訟はそうした損害を受けている加入者が、保険の勧誘を勧めた税理士や生保会社、銀行を相手に損害賠償請求を求めているもの。ほとんどの事案は、税理士や生保会社等に不法行為責任(説明義務違反)があったか否かが争点になっている。この事件も、加入時に税理士や生保会社等からリスクの説明がきちんと行われていれば加入を思いとどまり、損害を破ることもなかったというのが原告側の主張だ。
 判決はまず、変額保険が相続対策商品としては非常にリスクの高い商品であることを指摘。その上で、顧客自身が自己責任において保険の仕組みや危険性を判断すべきであると判示する一方で、勧誘にあたる税理士や生保会社等には、信義側上、契約者の年齢・経歴・社会的地位・財産状態・経済知識・投資経験・理解能力等に応じて商品の有利性のみならずリスクを具体的に説明すべきであると判示、原告の主張を一部認める判決を下した。
(1999.3.30東京地裁判決、平成6年(ワ)第19267号)