役員報酬も給料等に該当すると判断、差押処分を一部取消し
カテゴリ:16.その他 裁決・判例
作成日:09/15/2009  提供元:21C・TFフォーラム



 役員報酬が滞納の差押処分の一部を禁止している給料等に該当するか否かの判断が争われた事案で国税不服審判所は、役員報酬は会社との任用契約による勤務関係に基づき、職務の対価として継続的に受けるものであるから給料等に該当すると判断、所得税等に相当する金額を超える部分の差押処分を一部取り消す裁決を下した。

 この事案は、原処分庁が審査請求人の滞納国税を徴収するため、請求人が有する役員報酬の支払請求権のうち、役員報酬の金額から源泉所得税・住民税・社会保険料の合計額を控除した金額について差押処分をしてきたことが発端。そこで請求人が、役員報酬は国税徴収法76条が定める給料等に該当することから、所得税や住民税、社会保険料を控除した金額の20%相当額の差押えが禁止されると主張、原処分のうちその金額に相当する部分の取消しを求めていたという事案だ。

 当然、原処分庁は給料等には該当しないため差押処分は適法であると主張していた。というのも、役員報酬は、取締役と会社の委任契約に基づき取締役の行う経営活動の対価として支払われるものであるという考えからだ。

 これに対して裁決は、国税徴収法76条の給料等は雇用契約だけに限定されず、一定の勤務関係に基づき使用者又は組織から継続的に受ける又は受けることが予定されている給付をいうと解釈。そうであるならば、取締役の役員報酬はその任期中、会社との任用契約による勤務関係に基づき会社の機関又はその構成員として規律に服し、職務の対価として継続的に受けるものであるから、給料等に含まれると認定した。その結果、請求人が有する役員報酬の支払請求権のうち、役員報酬の金額から所得税等の金額の合計額を差し引いた金額を超える部分の差押処分は取り消されると判断した。

(国税不服審判所、2008.12.03裁決)