第二次納税義務者とみなして行った差押えは違法と判決
カテゴリ:16.その他 裁決・判例
作成日:02/20/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 国税の滞納処分のために、譲渡担保権者に対して第二次納税義務者とみなし、債権を差し押さえたことの可否が争われた事件で、最高裁(横尾和子裁判長)は国側の主張を認めた控訴審の判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があると判示、債権の差押えの取消しを求めた上告人の請求を認容する逆転判決を下した。

 国税徴収法24条6項は、譲渡担保権者が国税の法定納期限以前に譲渡担保財産となっている事実を財産の売却決定の前日までに証明できれば、譲渡担保権者の物的納税責任(同条1項)は生じない旨を定めている。

 そこで、国側が差し押さえた債権は国税の法定納期限以前に譲渡担保財産となっていたことを上告人が証明しており、第二次納税義務者とみなして譲渡担保財産を差し押さえたのは違法であると主張、差押処分の取消しを求めていたもの。一審は上告人側の主張を認めたものの、控訴審は国側の主張を認めたことから、上告してその取消しを求めていたわけだが、納税者側勝訴の再逆転判決となった事案だ。

 最高裁は、国税徴収法24条6項を解釈する際に、国税の法定納期限以前に、将来発生すべき債権を目的として債権譲渡の効果の発生を留保する特段の付款のない譲渡担保契約が締結され、その債権譲渡について第三者への対抗要件が具備されていた場合は、譲渡担保の目的とされた債権が国税の法定納期限の到来後に発生したとしても、その債権は国税の法定納期限以前に譲渡担保財産となっているものに該当すると解釈するのが相当であると判示。

 その解釈に沿って、事実関係から、上告人は差押えに先立ち、債権が国税の法定納期限以前に譲渡担保財産となっている事実を内容証明郵便によって証明したことが認められるため、上告人を第二次納税義務者とみなして行った差押処分は違法であると判断、国側の主張を斥ける納税者勝訴の再逆転判決を下した。

(200702.15最高裁判決、平成16年(行ヒ)第310号)