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1回でも事前届出と異なるものがあれば事前確定届出給与の対象外
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:02/24/2015 提供元:21C・TFフォーラム
複数回にわたる役員給与の支給をめぐり、事前確定届出給与に該当するか否かの判断が争われた事件で東京地裁(八木一洋裁判長)は、支給の中に1回でも事前に税務署長に届け出たとおりのものではないときがある場合は、全体として事前確定届出給与には該当しないと解するのが相当であると判示して、法人側の請求を棄却した。
この事件は、建物の管理及び保守請負業務等を営む法人が、夏と冬に支給した役員給与を事前確定届出給与に該当するものとして損金に算入して申告したところ、原処分庁が、事前に届け出た支給内容(確定額)と異なることを理由に、事前確定届出給与には該当しないと否認してきたため、法人側がその取消しを求めて提訴したという事案である。
法人側は、事前確定届出給与を定めた法人税法34条1項は財産権を侵害し、違憲無効である旨を主張するとともに、同族会社に該当しない法人が定期給与を支給しない役員に所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与の場合は、税務署長にその届出を提出することが求められていないことから、事前の確定額を超えて支給しても、全額を損金に算入して所得金額の計算をすることは妨げられないと主張して、原処分の取消しを求めた。
しかし判決は、法人税法34条1項の立法目的は正当なものであり、憲法に違反するものでもないと指摘した上で、非同族法人が定期給与を支給しない役員に支給する役員給与の例をもって事前確定届出給与に該当するための要件の当否を論ずるのは失当と批判した。
また、事前に複数の支給時期や確定額が定められている場合は、その支給中に1回でも事前の定めどおりにされたものではないものがあるときは、全体として事前の定めに基づくものではなかったことになると解釈するのが相当とも指摘。さらに、夏と冬に支給された役員給与のうち、冬に支給された額はいずれも届出額のうち支給時期を同日とするものとは異なっており、全体として事前の定めに基づくものではなかったと判示した。結局、その全額の損金算入が認められないと指摘して、法人側の主張を悉く棄却している。
(2014.07.18東京地裁判決、平成24年(行ウ)第536号)
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