前期損益修正の処理と異なる処理を行う理由はないと棄却
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:01/27/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 利息制限法の制限利率を超える過払金返還請求権に係る更生債権の確定に伴う制限利率を超える約定利息に係る部分について、更生会社の過年度所得に係る更正の請求が認められるか否かの判断が争われた事件で、東京高裁(下田文男裁判長)は、清算業務を行い解散の更生計画を立てた場合、前期損益修正による税務処理によって課税関係の調整を受ける余地がなくなるという判断から、一審同様に棄却した。

 この事件は、消費者金融事業を営んでいた更生会社が、利息制限法が定める制限利率を超える利息を定めた金銭消費貸借契約の利息及び約定利息を益金に算入して申告した後、更生手続過程において過払金返還請求権が更生債権として確定したことを受け、更生会社の管財人(控訴人)が、益金に算入した制限利率を超える約定利息に係る部分について更正の請求をしたところ、原処分庁が更正すべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、その取消しを求めるとともに、予備的に還付されるべき金額に相当する金額の不当利得返還を求めて提訴したもの。しかし、原審が訴えを斥けたために、更にその取消しを求めて控訴したという事案である。

 これに対して東京高裁は、前期損益修正は法人税法22条4項が定める公正処理基準に該当すると解釈する一方、更生会社がこれと異なる過年度所得の更生を行うべき理由があるとはいえないとも解釈。その上で、消費者金融業を営んできた更生会社自体は継続的に所得を計上する法人とせずに、清算業務、解散という更生計画を立てた結果、前期損益修正による税務処理によって課税関係の調整を受ける余地はなくなったが、これは更生計画に基づく結果であると指摘。結局、更生会社一般に特段の手当てがされていない前期損益修正の処理と異なる処理を行うべき理由は見いだし難く、納付済みの法人税を不当利得として返還請求を認めるべきこともできないと判示して棄却している。

(2014.04.23東京高裁判決、平成25年(行コ)第399号)