法人格が消滅していないため第二次納税義務の納付告知処分は適法
カテゴリ:16.その他 裁決・判例
作成日:05/12/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 破産手続廃止の決定を受けた法人の滞納国税をめぐり、元代表者に対する第二次納税義務の納付告知処分の適否が争われた事件で、東京地裁(増田稔裁判長)は、会社法に基づく清算が結了していないため法人格が存続し、滞納法人の納税義務は消滅していないと判断、その附従性により滞納国税に係る第二次納税義務も消滅したとはいえないと判示して、棄却の判決を言い渡した。

 この事件は、滞納会社から寄附金の交付を受けたことを理由に、滞納国税に係る第二次納税義務の納付告知処分及び不動産等の差押処分を受けた元代表取締役が、破産手続廃止の決定が確定して滞納法人の法人格が消滅していることから納税義務が消滅しているため第二次納税義務も消滅していると主張して、原処分の取消しを求めて提訴したという事案である。

 この訴えに対して判決は、法人が異時廃止の決定を受けた場合でも会社法475条1号が適用され、同法に基づく清算手続をしなければならないと指摘。同時に、清算の目的の範囲内で法人格は存続するものであることから、破産法35条に基づく破産手続の終了をもって法人格が消滅することはないとも指摘。というのも、会社法475条1号が法人の解散に伴う清算を義務付け、同法476条は清算法人が清算の目的の範囲内において清算の結了まで存続するとみなしている以上、清算法人は解散すれば清算手続を必然的にしなければならず、清算が結了しない限り法人格が存続するという解釈からだ。

 そのため、破産の確定等によって滞納会社の法人格が消滅し、納税義務が消滅していない以上、その附従性により滞納国税に係る第二次納税義務が消滅したということはできないと判断したわけだ。結局、第二次納税義務の納付告知処分及び差押処分が違法であることをうかがわせる事実や証拠も見当たらない以上、いずれの処分も適法であると判示して、元代表取締役の請求にはいずれも理由がないと判断、請求を棄却する判決を言い渡した。

(2014.08.28東京地裁判決、平成25年(行ウ)第728号)