株主又は社員等の共同的な事業者とは推認できないと判断
カテゴリ:16.その他 裁決・判例
作成日:03/08/2011  提供元:21C・TFフォーラム



 滞納国税をめぐって第二次納税義務の納付告知処分を受けた者が、国税徴収法37条が定める共同的な事業者として第二次納税義務を負う滞納法人の株主又は社員に該当する否かの判断が争われた事件で、国税不服審判所は審査請求人が滞納法人の株主又は社員と認めるに足る証拠はないと判断、第二次納税義務の納付告知処分を全部取り消した。

 この事案は、特殊浴場を営む3法人が国税を滞納していたことから、原処分庁が審査請求人に対して共同的な事業者として第二次納税義務者(徴収法37条)を負うと判断、その納付告知処分を行ったことが発端になったもの。これに対して請求人が、各滞納法人の株主又は社員ではないと反論、原処分の取消しを求めて審査請求していたという事案だ。

 これに対して裁決は、各滞納法人の定款等の記載によれば、請求人は各法人の設立の際に出資したとは認められず、直接的な資料によりその増資を引き受けるとか、出資を譲り受けた事実を認定することはできないと指摘。また、請求人は各滞納法人が経営する店舗の売上金を集金した以外には、各法人の経営に関与した事実は全く認められないから、各法人を自由に操作していたということはできず、実質的な出資者であると推認することもできないと指摘。

 さらに、原処分庁が指摘する2年分の法人税申告書の別表第二の記載のみから、請求人が各滞納法人の株主又は社員であったとすることは到底できないとも指摘した。結局、請求人が各滞納法人の同族会社の判定の基礎となる株主又は社員に該当すると認めるに足る証拠はないと判断、原処分は国税徴収法37条2号の要件を欠く違法な処分であると言わざるを得ないとして、その全部を取り消している。

(国税不服審判所 2010.06.22裁決)