外国税額控除訴訟で、三井住友逆転敗訴
カテゴリ:07.国際税務 裁決・判例
作成日:06/19/2002  提供元:21C・TFフォーラム



 三井住友銀行(旧住友銀行)が法人税の申告上適用した外国税額控除の可否をめぐって税務訴訟になっていた事件で、今月14日、大阪高裁は、三井住友銀行の行った外国税額控除の適用が違法であるとの判決を下した。一審の大阪地裁判決では、三井住友銀行の行った外国税額控除について国税当局が否認して追徴課税を行ったのは違法であるとして、その課税処分の取消を求めていた。

 三井住友銀行は、1991年、同銀行のロンドン支店がオランダ企業A社とオ-ストラリア企業B社の取引に介在して融資を行い、オランダ企業A社は同額を同銀行に定期預金していた。三井住友銀行がオ-ストラリア企業B社から受け取った利息についてオ-ストラリアで課税されていた源泉税については、三井住友銀行の日本における法人税の申告に際して法人税額から控除する外国税額控除を適用していた。また、同様の取引がニュ-ヨ-ク支店でも行われていた。


 日本の外国税額控除制度は、日本では全世界所得に対して課税されるために、日本における課税において海外で納付した税金分相当額を日本で納付する税金から控除し、国際的二重課税を排除するための制度であるが、大阪高裁は、三井住友銀行の行った外国税額控除の適用は「控除制度の利用を主な目的とした不自然な取引」であり、「制度の趣旨・目的を著しく逸脱する」と判断し、一審の大阪地裁判決を取り消し、約3億円の追徴課税を命じ、三井住友銀行の請求を棄却した。