登記機関からの通知なくとも登免税の還付請求は可と判断
カテゴリ:16.その他 裁決・判例
作成日:08/09/2005  提供元:21C・TFフォーラム



 登録免許税の免税措置が適用されることを理由に、税務署長に過誤納金の還付等に関する通知をすべき旨の請求をしたことに対して、登記機関が拒否通知をしたことの可否判断が争われた事案で、最高裁(横尾和子裁判長)は、登録免許税を過大に納付した場合は登記機関から税務署への通知がなくとも税務署長に過誤納金の還付請求ができると判断するとともに、登録免許税の還付通知請求に対して登記機関がした拒否通知は、抗告訴訟の対象となる訴訟処分にあたると判断、登記機関の上告を棄却した。

 この事件は、阪神・淡路大震災で損壊した家屋を取り壊した後、新たに建物を新築して保存登記を行って登録免許税を納付したが、登記後、阪神・淡路大震災の被災者に係る臨時特例法によって登録免許税の免税措置が適用されることが判明、所轄の税務署長に対して過誤納金の還付請求したことが発端になったもの。

 これに対して、登記機関が過誤納はなく、所轄税務署長への還付通知もできない旨の拒否通知処分をしてきたため、その取消しを求めていた。しかし、控訴審の大阪高裁は拒否通知が行政処分にはあたらないと判示、取消請求を却下したため、上告したその可否判断が争われていたものだ。

 これに対して最高裁は、登録免許税の納税義務は登記の時に成立し、納付税額は納税義務の成立と同時に特別の手続きを経ずに確定するものであるから、登録免許税と申告納税方式の還付請求とは前提条件が異なると解釈。その結果、過大に登録免許税を納付した場合は、登録免許税法31条2項が定める還付請求に対する拒否通知の取消しを受けなくても、国税通則法56条に基づいて登録免許税の過誤納金の還付請求ができると判断するとともに、拒否通知は登記等を受けた者の手続上の地位を否定する法的効果を有するものとして、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとも解釈している。 

(2005.04.14 最高裁第一小法判決、平成13年(行ヒ)第25号)