税理士に変額保険の説明義務違反はないと控訴審が逆転判決
カテゴリ:16.その他 裁決・判例
作成日:07/10/2001  提供元:21C・TFフォーラム



 バブルの頃、盛んに販売された変額保険をめぐっては、銀行、生保会社にとどまらず税理士にも説明義務違反を問う事件が続出、仲介をした税理士に説明義務違反が課されたケースもある。しかし、一審で税理士にも説明義務違反が認定されたものの、控訴審の東京高裁(涌井紀夫裁判長)は税理士の説明義務違反については不問とする逆転判決を下した。
 この事件は、バブル全盛の頃、相続対策効果が高い商品であることを売り物に、生保・銀行・税理士等が資産家を対象に販売・勧誘したことが発端。つまり、借入れに係る元利金の債務控除、死亡保険金を借入金の返済や相続税納付資金に充当できるなど相続対策に有効であるという誘い言葉で、銀行・生保と提携していた税理士等が顧客に説明、販売していたというわけだ。ところが、バブル崩壊とともにマイナス運用が続き、毎月多額の借入金利息の支払いに追われるケースが続出したことから、そのリスクを販売時に説明したか否か、説明義務を履行していたかどうかが争点になっていた事件だ。
 一審は、税理士にも説明義務違反を認定、900万円を超える損害賠償責任を命じる判決を下した。しかし、控訴審は、税理士は保険会社の関係者ではないという認定を行った上で、税理士が変額保険の商品説明を詳細にし、販売を勧誘するのは不自然な事態であると指摘、説明義務違反を理由に不法行為責任を求めるのは困難であると判示した。また、保険契約締結の際に収受した10万円の報酬についても、相続税申告の事務処理に関する対価であると認定、逆転判決を下している。なお、銀行や生保会社に対する説明義務違反については一審に続いて、賠償責任を免れないという判断を行っている。
(2000.09.11東京高裁判決、平成8年(ネ)第1578号)