販売手数料は業務関連性があると認定、原処分を全部取消し
カテゴリ:01.法人税 裁決・判例
作成日:04/28/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 販売業を営む法人が取引先に支払った販売手数料名義の金員の損金算入、及び消費税の課税仕入れの可否判断が争われるとともに、その金員が費途不明の支出か否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、売上割戻し又はそれに類似する費用と認定した上で、損金算入等を否認した原処分は違法と判断、全部取り消した。

 この事件は、販売業等を営む法人が取引先に販売手数料として支払った金員に対して、原処分庁が支払先や支払目的が明らかでないことを理由に、法人税の損金算入及び消費税の課税仕入れに係る支払対価とすることを否認、法人税及び消費税等の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたのが発端。

 そこで法人側が、取引先に対する売上の一部割戻しとして支払先及び支払目的も明らかであり、業務に関連したものであるから、損金算入及び消費税の課税仕入れに係る支払対価が認められるべきと主張、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。つまり原処分庁は、販売手数料の費途が不明であり、業務関連性も明らかではないことを理由に、損金算入等を否認してきたわけだ。

 裁決は、法人が保存するA社名義の請求書や領収証に記載された数量がB社に対する商品の販売数量と一致し、支払金額もB社に対する商品の販売数量に応じて割戻単価を乗じて算定されていると認定。さらに、法人が振り出した小切手がB社の常務取締役に支払われ、同人が管理する銀行口座で取り立てられていることなどから、販売手数料はB社に対する売上割戻し又はそれに類似する費用として支払われていたものとも認定した。

 これらの事実認定を踏まえ、法人の業務との関連性を有する金員の支出であると認められることから、費途不明であるということはできないと指摘、原処分を全部取り消す裁決を言い渡している。

(2014.07.28国税不服審判所裁決)