税務署が税理士にした行政文書不開示決定処分を全部取消し
カテゴリ:13.会計士・税理士業界 裁決・判例
作成日:08/29/2005  提供元:21C・TFフォーラム



 税務署が税理士に行った行政文書不開示決定処分の是非が争われた事件で、富山地裁(永野圧彦裁判長)は最終判断基準が記載された文書に開示請求文書を限定して解するのは相当でないと判示、税務署が行った行政文書不開示決定処分を全面的に取り消した。

 この事件は、税理士が情報公開法3条、4条1項に基づいて「個人課税部門における消費税の還付手続きについて、消費税法施行令64条規定の「控除不足額が過大であると認められる事由がある場合に除かれる」例外的取扱いの判断基準を示した行政文書の開示請求を税務署に行ったのが発端になったもので、開示請求された税務署がそうした文書は存在しないと不開示決定してきたため、税理士が不開示決定処分の取消しを求めて提訴していた事案だ。

 この税理士が開示請求した文書は消費税法施行令64条が定める例外的に消費税の還付を留保する判断基準を記載した文書。そこで、消費税の還付手続に係る消費税法施行令64条の例外的取扱いに係る事務処理の全過程の判断基準を記載した行政文書であれ、税法そのものの開示を求めたものではないと主張、不開示決定の取消しを求めていた。しかし、税務署はそれらの判断基準は税法の各規定に照らして行われるものであり、税法そのものであると真っ向から反論、開示請求文書は存在しないと主張していた。

 これに対して判決は、消費税の還付処理を留保するか否かの判断は、控除不足額が過大であると認められる事由があるという判断に密接に関連した前段階での事務処理における判断であると指摘、還付処理を留保するか否かの判断基準を記載した文書は開示請求文書に含まれると判断して、税務署の主張を全面的に斥けている。

(2004.04.01 富山地裁判決、平成15年(行ウ)第7号)