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区分所有建物全体に単一の経年減点補正率を適用した評価が妥当
カテゴリ:06.地方税 裁決・判例
作成日:04/27/2016 提供元:21C・TFフォーラム
事務所部分と居住用部分からなる区分所有建物の固定資産税額を算定する際、経年減点補正率を事務所部分と居住用部分に区分して適用すべきか、建物全体に単一の経年減点補正率を適用して算定すべきか否かの判断が争われた事件で、札幌地裁(湯川浩昭裁判長)は建物全体に単一の経年減点補正率を適用して建物全体を評価した上、共有持分の持分割合等の補正割合に応じて按分すべきと判示、自治体側の主張を棄却する判決を言い渡した。
この事件は、区分所有建物の事務所部分を所有して不動産賃貸業を営む法人が、自治体が決定した固定資産税課税台帳の登録価格は区分所有建物に係る固定資産税を定めた地方税法352条1項に違反すると主張、固定資産評価審査委員会の審査申出棄却決定の取消しを求める一方で、国家賠償法に基づく損害金の支払いを求めて提訴された事案である。
自治体側は、固定資産の適正な評価及び税負担の衡平という観点から住居用部分と事務所部分に異なる経年減点補正率を適用したものであり、地方税法352条1項に違反しないと主張。というのも、一棟の課税標準を決定した上で決定した税額を一定の基準に基づいて按分し、各区分所有者の固定資産税額を決定する方法に限定されると解すると、区分所有者が同一区域内に他の課税対象家屋を所有する場合、別個に区分所有建物の税額を求めなければならないことから、地方税法364条2項の趣旨には合致しないという判断からだ。
しかし判決は、区分所有建物の固定資産税額については事務所部分と住居用部分に区分した上で異なる経年減点補正率を適用して算定することは同条の趣旨に反すると指摘。その上で、建物全体に単一の経年減点補正率を適用して建物全体を評価した上、共有持分割合等の補正割合に応じて按分すべきであると判示した。
その結果、この方法によって算定された登録価格を超える部分について行政庁側がした固定資産課税台帳の登録価格に関する決定を取り消した上、過大に納付された固定資産税等相当額については国家賠償法に基づく損害賠償請求を認容する判決を言い渡した。
(2016.01.28札幌地裁判決、平成25年(行ウ)第3号)
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