各種金融資産を包括した「金融所得課税」の導入を提示
カテゴリ:10.金融 トピック
作成日:07/19/2001  提供元:21C・TFフォーラム



 金融庁総務企画局長主催の「金融税制に関する研究会」は、これまでの議論を総括した第8回目の会合で、利子や株式譲渡益など所得の種類ごとに課税が異なる現行方式を改め、各種金融資産の運用益をまとめた「金融所得」を新設し一定税率で課税する案を提示した。同研究会は、わが国の金融・証券市場の特性や参加者のニーズに対応し、効率的で国際的競争力のある金融市場をはぐくむ金融税制を検討する目的で昨年10月に発足したもの。
 その総括によると、わが国の金融税制においては、基本理念がまったく存在しないため、税制を見直し、「金融所得」とでも呼ぶべき類型を新設して横断的に課税してはどうかとの意見が多数を占めたという。また、金融所得と勤労所得の総合課税が望ましいとの原則論が強いが、総合課税化は不公平税制となる可能性があり、金融所得は勤労所得と分離して、別枠で包括的に課税することが望ましいとしている。勤労所得まで含めて総合課税化すると、累進税率が適用されるほか、申告負担が重くなるとの難点があり、まずは納税者の分かり易さを優先して、各種金融商品を包括した金融所得課税を導入し、総合課税化へのワンステップとすべきだとの意見だ。金融所得として分離した場合の課税方法は、対象を会計原則等で使用されている金融商品とし、原則申告課税とする(申告事務軽減のため預貯金の源泉徴収制度は維持)。リスク資産と非リスク資産の峻別は難しいので、利子、配当、譲渡益等に対して一律一定税率の課税を行うことなどを提案している。