大蔵省、早期是正措置は既定方針通り来年4月から導入
カテゴリ:10.金融 トピック
作成日:12/09/1997  提供元:21C・TFフォーラム



 大蔵省は、金融機関の貸し渋り問題の関連で「延期論」が高まっている早期是正措置について、既定方針通り来年4月から厳格に適用していく方針である。早期是正措置は自己資本比率を基準(海外に営業拠点を展開する銀行は8%、その他は4%)に、行政の透明性、金融機関の健全性確保の画面を狙いとした制度。金融機関にとって、比率を維持するためには資産を増やさないことが手っ取り早い方法のため、企業への融資姿勢が厳しくなる傾向がある。特に、バブル崩壊後、不良債権早期処理が重荷となっていることから資産圧縮に拍車がかかるあまり、貸し渋りにつながりかねない。
 米国では、89年に設立された整理信託会社(RTC)が貯蓄貸付組合(S&L)の破たん処理で機能。約10兆円の財政資金が投入され、不良債権処理を完了してから早期是正措置導入に踏み切ったことから貸し渋りは社会問題とならなかった。野党や学者の指摘は、日本では不良債権の早期処理が遅れており、公的資金導入による破たん処理スキームも検討の緒についた段階で、今、早期是正措置を導入するとクレジットクランチになりかねない ― というものだ。これに対し、大蔵省は「導入を遅らせると却って内外市場の信頼を損なう。そのことがはるかに問題だ」(三塚博蔵相)と、変更する考えはないことを強調している。