預金保険法改正で預金保険機構の財源問題が焦点に
カテゴリ:10.金融 トピック
作成日:11/04/1997  提供元:21C・TFフォーラム



 今臨時国会に預金保険法改正が上程され、11月上旬から審議が開始される。改正ポイントは、2000年度までの時限的措置として、蔵相のあっせんを条件に経営悪化銀行同士の「新設合併」に対しても資金援助(具体的には不良債権の時価での買い取り)を可能にする点だ。大蔵省は、破綻の恐れがある金融機関が債務超過に至らない前に預金保険機構による資金援助を発動して、クレジットクランチを防止するのが最大の狙いと強調する。債務超過に陥っても「受け皿」となる金融機関がある場合は従来型の資金援助を発動する。
 大蔵省は法案成立後、即日施行するなど破綻処理方式を一層多様化し、金融システム安定を図る方針だ。しかし、問題は新設合併が予想以上に増加した場合、預金保険機構がたちまち財源不足となることだ。バブル崩壊後、多額の不良債権を抱え自助努力でのリストラ再建が困難な“破綻予備軍”は関西、東北、九州地区の第二地銀5-6行など全国規模で存在する。大蔵省は、財源不足が確実になった場合は日銀借入枠(1兆円)の拡大で対応する構えだが、同時に保険料収入(年間約4600億円)の増大も視野に入れている。保険料の最大の出し手である都銀などでは保険料率(現行は0.084%)の再引き上げによる負担増を警戒しており、大蔵省方針は反発を呼びそうだ。