加速する貸し渋りに不安高まる中小企業
カテゴリ:10.金融 トピック
作成日:10/19/1998  提供元:21C・TFフォーラム



 民間金融機関の貸出し圧縮が強まっており、中小企業の不安が高まっている。
 日銀が14日に発表した9月の貸出・資金吸収動向によると、全国銀行の総貸出平均残高は前年同月比2.7%減と統計開始以来、最大の減少幅となった。通産省では15日に貸し渋りの実態調査を公表し、中小企業では過去最高の34%が貸し渋りを受けていることが明らかになっている。具体的な内容は、希望額の借入困難化や担保・保証条件の厳格化が目立つ。今後の金融機関の融資態度の厳格化を懸念する中小企業の割合は56.3%に上る。「貸し渋り倒産」も急増している。帝国データバンクが14日に発表した98年度上期の貸し渋り倒産は421件を記録。前年同期比で5倍増、97年度下期比で倍増と急増している。原因として、希望借入額を削られたケースが約5割を占め、担保価値減少を理由に追加担保を要求されたり財務内容のチェックの厳格化を挙げる企業が多かった。
 このような状況を受け、政府は10月1日から貸し渋り対応特別保証制度を中心とした中小企業金融対策を発足させているが、貸し渋りの拡大には追い付かないとの見方が強い。現在のところ貸し渋り解消には、16日に国会で成立した金融機能早期健全化緊急措置法に基づく資本注入で金融機関の融資姿勢が和らぐことと、11月上旬に予定される緊急経済対策を始めとする大規模な景気対策が期待されているが、先行きは不透明なままだ。