政府の貸し渋り対策で約8千社の企業が倒産を回避
カテゴリ:10.金融 トピック
作成日:04/15/1999  提供元:21C・TFフォーラム



 政府が金融機関の貸し渋り対策として実施した昨年8月の「中小企業等貸し渋り対策大綱」及び12月の「緊急経済対策」で、今年度約8千社の企業が倒産の危機から救われるとの試算を三和総研がまとめた。
 同総研では、過去2回の信用収縮対策により、中小企業では信用保証協会による特別保証枠で資金調達環境が改善され、大企業ではCP発行の拡充等により必要事業資金と外部調達のバランスが改善されてきたと分析。倒産件数が昨年11月から4カ月連続して減少し、2月はピークだった昨年5月の半数まで減った大きな要因としている。各種データを基に推計した「想定倒産件数」と実際の倒産件数との差が、対策により倒産を免れた「潜在倒産件数」とすると、その数は2月だけで640社、今年1~3月期で約1,900社と推定され、このままで維持されると年間で7,782社が倒産から免れると試算している。また、倒産回避による民間企業損失回避額は1兆6千億円にのぼり、7万7千人が失業を免れるとしている。
 しかし、中小企業に対する民間金融機関の貸出は増えているとはいえず、今後、信用収縮対策以外に経営環境の改善が進まなければ、再び厳しい状況に陥ることも予想される。