法的処理スキームで問題金融機関の淘汰加速
カテゴリ:10.金融 トピック
作成日:11/11/1997  提供元:21C・TFフォーラム



 関連ノンバンクの経営悪化・再建断念に伴い、三洋証券が金融機関としては初めて会社更生法の適用を申請した。金融界には「金融機関でも会社更生法が申請できるのか」といった驚きの声もあるが、破綻処理に新たな選択肢が加わったといえる。来年夏には大蔵省に銀行、証券、保険分野を一元的に所管する「金融局」が設置されることと合わせると、今回のスキームは問題金融機関の整理・淘汰のモデルケースとなる可能性もある。
 大蔵省は「会社更生法という透明性のある法的枠組みの中で再建への努力を見守る」(三塚博蔵相)との姿勢だが、金融機関の破綻処理を司法の手にゆだねたことは、日本版ビッグバン(金融大改革)の本格実施を前に、護送船団行政の終焉と金融行政の限界を露呈したものといえよう。大蔵省は法的処理の特徴として「会社の再建問題と一般投資家保護が明確に区別された」と自賛する。しかし、投資家の資産保護の前提となる証券版預金保険機構である寄託証券補償基金の財源(約350億円)は心もとない。拠出上限(1社当たり20億円)の見直しを含め、早急に基金の拡充を行う必要がある。