「ソルベンシー・マージン比率」グループ全体に適用
カテゴリ:10.金融, 14.各省庁関係 トピック
作成日:02/10/2011  提供元:21C・TFフォーラム



 金融庁は、保険会社の財務の健全性を示す「ソルベンシー・マージン比率」について、2012年3月期から親会社や子会社などグループ全体を規制対象にすると発表した。同比率は、金融危機や大災害で保険会社に想定外の損失が発生した場合、保険金の支払い余力がどれぐらいあるかを示す指標。200%を下回ると行政処分の対象となる。

 同比率は従来、保険会社単体に適用されていたが、2008年秋の金融危機でグループ会社の財務悪化が保険会社本体の経営危機に繋がるケースがあったため、銀行や大手証券会社と同様にグループ全体で財務の健全性確保やリスク管理を求める。

 グループ規制の導入により、生命保険、損害保険や持ち株会社の連結対象となる国内外すべてのグループ会社が財務規制の対象になる。同じグループの銀行や証券会社も例外ではない。また近年、保険会社はアジアを中心に海外進出を加速しており、海外子会社の監督重要性が高まっているところ。金融庁では、グループ規制導入後、とくに保険会社の海外の資産運用子会社の運用リスクを重点的にチェックしたい考えだ。

 ソルベンシー・マージン比率をめぐっては、アメリカの保険会社大手AIGのイギリス子会社が2008年にデリバティブ取引で巨額の損失を出し、AIG本体が破綻寸前に追い込まれたことを契機に、保険会社のグループ全体に同比率の規制を適用することが国際的な流れになっていた。