公表不良債権は全銀協基準で、大蔵省が自己査定公表を否定
カテゴリ:10.金融 トピック
作成日:02/02/1998  提供元:21C・TFフォーラム



 大蔵省が公表する不良債権の基準があいまいで国民の不信感を招いている。昨年末、97年9月期の公表不良債権(経営破たん先債権・6ヵ月以上延滞債権・金利減免債権=全銀協基準)は全国銀行の総計で21兆7300億円と発表。その後、1月には自己査定結果による不良債権集計額は、76兆7080億円であることを明らかにした。全銀協基準の実に3.5倍である。大蔵省がわずか1ヵ月もたたないうちに2回も不良債権額を公表したのは、公的資金30兆円投入を柱とした金融安定化策の絡みで、銀行の不良債権問題への批判が高まっていることを意識したと見られている。
 大蔵省にはもともと自己査定公表の意思はなく、今後も、不良債権公表は全銀協基準以外はありえないとの立場だ。だが、国会審議の過程で公表せざるを得なくなった。世論を意識して「金融機関はもっと情報公開を徹底すべき」という前に、まず、大蔵省自身が不良債権の定義、公表基準の内容、処理策対応などについて、当局としての説明責任をきちんと果たし、金融機関に率先してディスクロージャーを徹底してこそ透明性の高い検査・監督に転換できるといえるのではないか。