公的資金投入の審査基準決定、大手18行一斉に申請へ
カテゴリ:10.金融 トピック
作成日:03/03/1998  提供元:21C・TFフォーラム



 金融機関の自己資本増強に公的資金を投入する際の審査基準と経営健全化計画に盛り込む事項が2月26日、決定した。最近、3年連続して赤字決算、無配が続いている場合や債務超過に陥っている金融機関は対象外とするが、自己査定による不良債権の公表は義務付けないなど「甘い基準」となった。大蔵省接待汚職事件に関与した銀行の取扱いも注目されたが、「個別銀行の問題よりも金融システム全体の安定性確保を優先する」(金融危機管理審査委員会)との判断から、できるだけ多くの金融機関を対象に公的資金を投入することで決着した。
 3月5日までに申請する都銀、長信銀、信託銀の大手18行や地銀大手行は実質無条件で公的資金活用が認められる見通し。18行ベースの総額は2兆円を上回る見込みで、仮に自己資本比率がBIS基準の8%を維持することを前提に試算した場合、25兆円の貸し出し余力が生じる。公的資金投入の狙いの一つである貸し渋りに緊急対応できることになる。しかし、本来は資本注入を必要としない優良銀行が一斉に申請に踏み切ることや、行員の給与引下げなどのリストラ計画も横並びとなる可能性が強いことから「護送船団行政そのもの」との指摘もある。