減少傾向をたどる債権放棄だが銀行では増加傾向
カテゴリ:10.金融 トピック
作成日:05/26/2004  提供元:21C・TFフォーラム



 不良債権処理が最終段階を迎えるなかで今後も債権放棄を軸にした金融支援が不可欠だ。ただし、債権放棄は2001年をピークに減少傾向にある。帝国データバンクがこのほど公表した債権放棄企業の実態調査結果によると、85年以降に債権放棄が合意に至った社数は、2004年3月末までに累計940社となっている。

 過剰債務の自力削減が限界になったことが明らかになった94年(30社)から増加傾向を示し始め、過去最高の251社を記録した2001年をピークに減少傾向にある。2004年は3月末までに判明した企業が49社あるが、目立つのは銀行による一般企業の債権放棄で、2004年は3ヵ月ですでに33社と過去最高を記録し、増加傾向を示している。

 債権放棄の事例をパターン別にみると、85年から2004年3月末までの合計は、「親会社(銀行以外)→系列企業」が550社(構成比58.5%)で最も多く、次いで「銀行→一般企業」が153社(同16.3%)、「銀行→系列企業」が107社(同11.4%)などとなっている。「銀行→一般企業」のパターンは全体の社数が減少するなかで一貫して増加しており、銀行の不良債権処理が加速していることがうかがえる。

 債権放棄を要請した企業を業種別にみると、「ノンバンク」が146社(構成比15.5%)でトップ、以下、「製造」143社(同15.2%)、「卸」106社(同11.3%)、「サービス」97社(同10.3%)などが続く。96年ごろまではノンバンクが大半を占めていたが、99年以降は製造、卸、サービス、建設、不動産など業種的に広がりをみせている。

 債権放棄を受けたものの、その後再建がままならず、倒産、清算もしくは吸収合併への道をたどった企業は、債権放棄940社のうち205社、構成比にして21.8%にのぼっている。