政府の金融対策の浸透で緩和されたか“貸し渋り”
カテゴリ:10.金融 トピック
作成日:12/03/1998  提供元:21C・TFフォーラム



 日本商工会議所の「中小企業に対する民間金融機関等による貸し渋りの現状に関する緊急調査結果」によると、政府が8月に行った『中小企業貸し渋り対策大綱』により金融機関の貸し渋りが改善されてきていることがわかった。
 調査は、全国521の商工会議所を対象に10月時点の金融機関の貸し渋り状況について実施された(回答率70.4%)。それによると、7~9月期と比べ貸し渋りの状況が「改善された」と答えたものは22.1%で、5月に行った調査での6%を大きく上回り、“貸し渋り”に改善の兆しが見えてきた。また、政府の金融対策を受けての金融機関の貸出姿勢の変化については、約6割の商工会議所が「変化があった」と答え、変化の内容では、「銀行が顧客に中小企業金融安定化特別保証制度を巡回・説明している」や「銀行のPR・融資等が積極的になった」としており、政府の施策が浸透しつつあることをうかがわせる。貸し渋り対策の目玉だった特別保証制度の評価は、「適切に運用している」が20%で「適切に運用していない」が23%でほぼ同じだった。
 しかし、(1)プロパー資金を断られ、マル経資金等の公的融資を紹介された、(2)希望した融資額を削られた、(3)借入れを断られたなど、依然として「変わらない(改善されていない)」との回答が50%を占めている現状を見る限り、中小企業にとってはまだ引き続き厳しい状況であることにはかわりない。