金融システム不安回避で公的資金の導入機運高まる
カテゴリ:10.金融 トピック
作成日:12/02/1997  提供元:21C・TFフォーラム



 北海道拓殖銀行、山一証券と大型の金融破たんが相次ぎ、金融システムへの不安が増幅している。大蔵省は、あらゆる選択肢を点検・検討し、最善の政策を早急に取りまとめる方針で、公的資金の導入を視野に入れ金融システムの安定・維持に全力をあげる構えだ。現在のところ、預金保険機構の保険料率(現行0.084%)を98年度末までに見直すのと合わせ、新たに一般金融機関特別勘定に政府保証を付ける形で財源拡充を図る案が有力視されている。自民党は来年の通常国会に預金保険法改正案を提出する見通しだ。
 大蔵省は昨年、預金を取り扱っていない住宅金融専門会社(住専)への財政資金6850億円投入で国民の強い批判を招いた。公的資金導入には慎重な姿勢を示していたが、今回は金融不安の連鎖を防止するため迅速な対応を迫られていることに加え、抜本的な破たん処理を容認する機運が高まっていることもあり「国民の反応は住専と異なる」との“読み”がある。ただ、投入の前提として、(1)国会で議論を尽くし、国民の理解を得る、(2)金融機関の不良債権の全面公開だけでなく大蔵省もディスクロージャーを徹底する、(3)公平・透明なルールを制定することが何よりも必要だ。