4月1日から中小企業会計割引制度の運用を厳格化
カテゴリ:10.金融 トピック
作成日:02/16/2011  提供元:21C・TFフォーラム



 「中小企業の会計に関する指針」(中小指針)に準拠して作成される中小企業の計算書類について、税理士等(税理士、税理士法人、公認会計士又は監査法人)が、準拠している旨を確認するチェックリストが提出された場合に、信用保証協会の保証料率が0.1%割引されるのが「中小企業会計割引制度」。しかし、チェックリストの虚偽記載が散見されることから、本年4月1日以降終了する事業年度の計算書類から厳格化が図られる。

 平成18年4月に創設された会計割引制度は、チェックリストの添付によって認められ、19年4月の見直しで、チェックリスト中の15項目のうち1項目以上の準拠によって認められることとされていた。平成21年度の利用実績は約27万件(全保証承諾件数の約30%)に上っているが、信用保証協会の審査の現場では、事実と異なる記載のあるチェックリストや、規則的な減価償却、貸倒引当金の計上等の重要項目がチェックされていないリスト等が散見されていた。

 このため、1)チェックリストの全15項目について、全て中小指針に準拠していること(「YES」に「○」が付されている。ただし、保有しない資産の項目は除外)、2)チェックリストの全15項目の「YES」に「○」が付されているにもかかわらず、故意・過失を問わず事実と異なる記載が認められると保証協会が判断する場合は、割引制度の適用を認めない、こととされる。

 また、故意・過失を問わず事実と異なる記載と保証協会が認めるチェックリストが、複数回にわたり同一の税理士等から提出され、計算書類の信頼性向上に寄与することが認められないと保証協会が判断する時は、その税理士等が確認したチェックリストについては、割引制度の利用を1年間認めないこととされた。

 さらに、各保証協会は、会計割引制度の利用を認めないこととされた税理士等の名称等について、各保証協会から所属税理士会又は所属する日本公認会計士協会地域会、に通知するとともに、この通知を保証協会連合会にも行い、情報を共有する。

 運用の変更は、平成23年4月1日以降に終了する事業年度の計算書類から適用されるとともに、今後、運用状況を定期的に確認し政策的必要性を含めた見直しを行う。