預金保険の財源問題で「公的資金投入」が焦点に
カテゴリ:10.金融 トピック
作成日:11/19/1997  提供元:21C・TFフォーラム



 金融機関の破たん処理で重要な役割を担う預金保険機構の財源問題がクローズアップされている。破たんした銀行の不良債権は公表額の数倍に達するのは今や常識。債務超過に陥り幸福銀行への営業譲渡を発表した京都共栄銀行の場合、破たん前の公表不良債権258億円が一挙に6倍の1300億円に膨らんだ。資金援助を発動する預金保険機構のコスト増加は避けられず、財源枯渇が懸念されている。
 金融機関が負担する預金保険料は、96年度からペイオフ実施の2000年度までの5年間で2兆7000億円の収入が見込まれている。このうち、信組など相次ぐ破たん処理で1兆4000億円を使い、残りは1兆3000億円しかない。都銀1行当たり5年間の負担額は700億円強でこれ以上の増額は困難だ。財源不足を補う手段として日銀借入枠2兆円があるが、返済を考えるとむやみに使えない。新進党、民主党など野党は「預金保険の活用は限界」とみて、小手先で対応せず、公的資金を導入して迅速かつ抜本的な処理が必要と主張する。公的資金を入れるとなると、昨年の住専処理への6850億円の税金投入で厳しい批判を招いただけに、いかに国民の理解を得られるかが鍵を握る。