公的資金による資金注入の手続きが争点に
カテゴリ:10.金融 トピック
作成日:02/10/1998  提供元:21C・TFフォーラム



 大蔵省の金融検査官汚職事件が、公的資金30兆円投入を柱とした金融システム安定化に関する2法案の国会審議に影響を及ぼしている。特に、3兆円の国債交付、10兆円の政府保証を活用して金融機関の優先株などを購入する自己資本充実支援に厳しい批判が続出している。野党側から「経営救済やモラルハザード発生につながりかねない」との指摘が多く、手続きの透明性、審査基準の明確化などが争点になっている。
 大蔵省では、資本注入は破たんした金融機関の受皿金融機関と信用秩序維持のため自己資本増強を必要とする一般金融機関に限定、経営が悪化した金融機関は対象としない。金融機関からの申請は審査委員会(7人)が厳正に審査基準に照らして全会一致で決定すると説明している。しかし、経営が最も安定しており当面は自己資本増強の必要がない東京三菱銀行や収賄容疑逮捕の金融検査官から検査情報を入手したとされる三和銀行などが活用を検討しており、金融機関の選別に不透明さが残る。資本注入の決定権を持つ審査委員会は大蔵省主導で運営される可能性が強く「裁量行政の復活」を危惧する声も多い。