大蔵省、金融システム安定化関連2法案の早期成立目指す
カテゴリ:10.金融 トピック
作成日:01/12/1998  提供元:21C・TFフォーラム



 大蔵省は、政府・自民党の金融システム安定化の緊急対策を受けて、預金保険法改正案と金融システム安定化法案(新法)を19日までに通常国会に提出、早期成立を目指す。預金保険法の改正は96年、97年に続くものだが、今回は預金の全額保護の徹底を図るのが眼目。政府が預金保険機構内の特別勘定に国債7兆円を交付、破たん処理に伴う損失の穴埋めに活用する。別途、資金調達を円滑化するため10兆円の政府保証枠を設定する。
 一方、新法では金融不安回避の緊急措置として、合計13兆円の公的資金を金融機関発行の優先株・劣後債の購入に充てるため、新たな勘定設置(金融危機管理勘定)を盛り込む。破たん金融機関の受皿となる金融機関だけでなく、一般金融機関も対象に自己資本充実を支援するのが注目される。公的資金を使うのは「金融機関救済になりかねない」との声がある。大蔵省では透明性を確保するため、蔵相、日銀総裁などで構成する審査委員会が金融機関から提出された健全性確保に関する計画を厳格に審査、全会一致で議決し、閣議の了承を得て議事録を公表することを明記する。しかし、一般金融機関の場合の判断基準は「経営が悪化しておらず、信用秩序の維持や地域経済の安定に支障が生じる事態となるとき」とあいまいだ。基本的にケースバイケースでの対応になるため、金融機関のモラルハザード防止策をどう講じるかが今後の焦点となる見込みだ。