貸し渋り特別保証制度利用企業の倒産急増中
カテゴリ:10.金融 トピック
作成日:08/19/1999  提供元:21C・TFフォーラム



 民間金融機関の貸し渋り等のため厳しい経営環境にある中小企業対策として、政府が昨年10月から実施した貸し渋り対応特別保証制度(中小企業金融安定化特別保証制度)は、通常融資に比べ貸付対象や保証要件を大幅緩和したことから、全国91万社を超える企業が総額16.5兆万円の融資を受けている(今年8月6日現在・中小企業庁調べ)が、今年に入り制度を利用した企業の経営破綻が急増している。
 民間信用調査機関の東京商工リサーチによれば、特別保証制度利用後に倒産した企業は1月(28件)以降毎月増加傾向にあり、7月は177件も発生している。今年7カ月間では805件、負債総額にして4,354億円に達するとともに、ここ4カ月連続して月次倒産件数の10%以上を占めている。
 この保証制度は、必要額の借入が困難なため回収条件や支払条件の変更を余儀なくされるなど一定の資格要件及び「税金を滞納している」や「業績が極端に悪化し大幅な債務超過で事業好転が望めない」などのネガティブリストに該当しなければ保証が承諾される。また、無担保で第三者保証人がなくても最大7,500万円まで融資が受けられる。
 ここで問題なのが企業に対する審査機能だが、「市町村長へ認定要件に必要な経営資料を提出すれば、認定を拒否されることはまずない」という噂が出ていることを考えるとチェック機能の甘さが今回の原因と言えそうだ。特別保証制度の資金の原資は税金で賄われている。融資後数カ月で破綻する企業に融資を行う審査体制では国民は納得しない。