宗教活動の一環でもすべてが事業として行われたものと認定
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:09/02/2008  提供元:21C・TFフォーラム



 宗教法人が行った絵画の譲渡が事業として行われる資産の譲渡に該当するか否かの判断が争われた事案で、国税不服審判所は宗教活動の一環として行った資産の譲渡等について消費税等を課税しないとする法令上の規定はないため、絵画の譲渡は事業として行われたものに該当すると判断、原処分の取消しを求めた宗教法人の審査請求を棄却した。

 この事案は、宗教法人である審査請求人が行った絵画の譲渡が、消費税法上、資産の譲渡等に該当するため課税対象になると原処分庁が認定、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行ってきたため、宗教法人が原処分は違法であるとしてその取消しを求めていたもの。宗教法人は設立目的の事業の用に供する会館の建設資金を得るために、自ら所有し、維持・管理してきた絵画を譲り渡す旨の契約を売却先と交わし、1億4000万円で譲渡したことをめぐって、その課否判定が争われた。

 宗教法人側は、絵画の譲渡に係る売却資金をすべて宗教活動の資金にしている等、請求人の宗教活動の一環として行われたものであること、また単発的な取引であり、事業として行われたものではないことから、消費税等の課税対象にはならないと主張して、原処分の取消しを求めていた。

 これに対して裁決はまず、宗教法人が宗教活動の一環として行った資産の譲渡等について消費税等を課税しないとする法令上の規定はないと指摘。その上で、法人はそれ自体が事業を行う目的で設立されることからすれば法人が行う資産の譲渡等は、そのすべてが事業として行われたものに該当することになると判断して、宗教法人の審査請求を棄却する裁決を下している。

(国税不服審判所、2007.11.26裁決)