出向契約に基づく業務分担金は給与に当たると裁決
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:12/04/2000  提供元:21C・TFフォーラム



 出向契約に基づいて支払った業務分担金が課税仕入れに該当するか否かの判断が争われていた事案で国税不服審判所は、給与等を対価とする役務の提供によるものであることから仕入税額控除は認められないと判断、審査請求人の課税処分の取消請求を棄却した。
 この事案は、金属加工機製造業を営む法人がある法人(A社)と出向契約を交わして2人の従業員を業務に従事させたことが発端になったもの。請求人はこの出向契約に基づく覚書きにそってA社に支払った業務分担金が課税仕入れに当たると判断、仕入税額控除をした上で申告したわけだ。ところがこれに対して、原処分庁が給与等の対価であることから仕入税額控除は認められないと認定、更正処分等をしてきたため、審査請求人がその課税処分の取消しを求めていたという事案だ。
 裁決はまず、出向契約に基づく分担金等であっても、その実質が出向先が支払うべき給与に相当するものである場合は仕入税額控除の対象にはならないと解釈。その上で、出向契約や労務提供の内容がa業務に必要な機械や器具の従業員の負担がない、b請求人の指揮監督の下に労務を提供している、c請求人が2人の従業員の労災保険に加入、給付手続きを行っている、ことなどを指摘、これらの事実関係を総合的に考えると従業員が請求人の指揮命令に服して、非独立的に労務・役務の提供を行っていると判断せざるを得ず、実質的には雇用関係にあると認めるのが相当であると判断した。結局、雇用契約に基づく給与の支払いにあたることから、仕入税額控除の対象には当たらないという判断だ。
(国税不服審判所、1999.11.4裁決)