給与負担金ではなく業務委託契約に基づく対価と認定、棄却
カテゴリ:03.消費税 裁決・判例
作成日:06/08/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 職員を通所介護業務に従事させて社会福祉法人から得た所得が消費税法基本通達5-5-10に定める出向先事業者が支出する給与負担金に該当するか否かの判断が争われた審査請求事案で、国税不服審判所は業務委託契約に基づく対価と認められるから、課税資産の譲渡等の対価に該当すると判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、審査請求人がその職員を社会福祉法人が行う通所介護業務に従事させて得た金員を原処分庁が課税資産の譲渡等の対価に該当すると判断して、消費税及び地方消費税の更正処分等を行ってきたため、その取消しを求めて審査請求していたという事案だ。つまり請求人は、社会福祉法人に出向させた職員の給与を収受したものであり、消費税法上の給与負担金(消基通5-5-10)に該当するから課税資産の譲渡等の対価には該当しないと主張して、原処分の取消しを求めていたわけだ。

 これに対して裁決は、出向とは出向先とも雇用関係に基づいて勤務する形態であると解釈した上で、請求人が職員を社会福祉法人に出向させていたとみることはできず、社会福祉法人から収受した金員は、出向に基づく給与負担金とは認められないと指摘。しかも、契約書の契約内容に基づいて職員を社会福祉法人の通所介護業務に従事させて役務を提供し、その対価として金員を収受しているのであるから、その金員は課税資産の譲渡等に係る対価に該当すると判断して、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2009.05.22裁決)